応募結果発表

第12回 (締め切り/2003年11月30日)
総評
 今回から畑田洋行氏を審査員に迎え、企画出版を目指す応募者にとって、より強力な布陣で臨めることになった。
 さて、第12回の応募内容であるが、なかなか粒揃いであったと認めざるを得ない。つまり、どれもそれなりによく練られた企画(テーマ・構成)であった。
 今回、審査基準を敢えて定量化してみたい。@テーマの独自性、A訴求点の明快性、B説得力、C意外性、D読者ターゲット(明確さと数)のそれぞれについて、1点/0.5点/0点の3段階評価(10点満点)をし、その合計が6.5〜7点を越えないと厳しい、と考えてもらっていいと思う。

『鬼手乱心』
ペンネーム 社氏 伸朗
寸 評  現役の開業医からの応募である。簡単にいうと、「元病院勤務の麻酔科医から見た胃がん手術の現場――もし、手術の最中に外科医がおかしくなったら?」を小説仕立てで書く、といった主旨である。
 昨今、J医大O病院の事件に代表されるような医療ミスが少なからず起こったり、出版の分野でも『ブラックジャックはどこにいる』、『死体洗いのアルバイト』など、医者・病院ものが売れていたりと、間違いなく注目度の高いテーマである。すでに原稿も書き上がっているということで、【通過】作に推そうかと思ったが、小説形式がベストかどうかという点で疑問が残ったため、【もうひといき】とさせてもらった。
 企画出版をご検討頂ける版元の方、ご連絡をお待ちしています。 【吉】
『ケアマネさんがやってきた!』
ペンネーム 春野 風子
寸 評  テーマに独自性があり、読者層もはっきりしている。主張も明快。ますます深刻化するであろう介護問題に対する関心は強いと考えられる。それだけに、今後は類書が多く出版されることが十分に予想できる。
 しかし、本企画は現役のケアマネジャーが現場の声を伝える点で、読者にアピールし、強いメッセージを発することができるはずである。ただ、今回の企画を拝見しただけでは、読者に「えっ、そうなの?」と感じさせる意外性や、「なるほど、そのとおりだ」と思わせる説得力が、どの程度出せるかが判別できまない。意外性や説得力を出すために、どれだけ具体的なエピソードを書けるが、カギを握るでしょう。 【畑】
『建設業界ホンネの話』
ペンネーム 水城 郁
寸 評  建設業界は、最近、話題になっている注目の業界であり、タイムリーである。しかし、目次構成をみると、やや話が飛んだり、焦点が少しボケているような気がする。対象読者にもあるように、週刊誌向けの企画の匂いが大きく、1冊の単行本として成立するかどうか?――編集者からも突っ込まれるだろう。本を出版する時期と、建設業界の位置づけ、注目度はどうか? さらに、雑誌テイストではなく、単行本テイストとしてもう少し料理したほうがいい。 【唐】
『何だかおかしな生保の営業』
ペンネーム 水城 郁
アドバイス 「生保本」の類書は少ないようで多い。タイトル、サブタイトルとも変化があって面白いが、やはり企画をパスする上ではパンチが弱い。
 この企画の最大の難点は読者ターゲットだ。サラリーマン、主婦層という書き方では、非常に曖昧な範囲である。提案であるが、ここは、一気に、「学生をターゲットに絞った就職本」にしてはどうか? 『間違いだらけの生保選び』として、これから生保業界に入ろうとしている就職学生に「生保業界の実態」を述べ、後半に、どのようにしたら生保業界に入れるのか、というノウハウを入れておけば、”転職希望者にも”読める、ニーズの高い本になる。 【唐】
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